この業界がブラックだと言われる所以
手積み手降ろし
正直なところ、この手積み手降ろしはなんの価値もない。
わざわざパレットで積んである荷物を崩して、手でトラックに積んでいくのが手積みです。
そして降ろす時は、逆でまた降ろし先のパレットにまた載せていくというただの力作業
(積み方もありますが基本的に必要なのは力作業です)
これをやることで、パレットで積む時の3倍から4倍時間がかかります。
要は3倍から4倍、倉庫のドック(搬入口)を使用することになり、長時間の待ち時間が発生するという状況。
トラックの待ち時間が多くなれば、長時間労働になり、時間がタイトになり焦りが生じ事故の原因になる。
もちろん環境にもよくありませんし、待機場所がなく周辺の停めることでトラブルに発生したりしています。
待ち時間を減らすために、違う会社のドライバー同士が手伝って荷物を積むというような現場も。
時間だけではないドライバーの身体の負担もパレット積みとは全く違います。
真夏に10キロの荷物を1000個手積みする。20キロの荷物を500個手積みする
降ろす時もパレットに載せて終わりではない。パレットに手降ろしした荷物を指定の場所までフォークリフトで運ぶことも当たり前のようにドライバーの業務になっている。中には品出しまで強要する荷主もいる。
体辛すぎw
この体で全身筋肉痛
佐川の請け負いやけれど
やはり流石佐川やな
1000個近い荷物を手積み手下ろし
それを日に3.4回いけてるぜ!
— 敏満 大山 (@Finestomiso) April 19, 2015
大阪から東京までダンボール箱の荷物送ったら2000円とか掛かるのに、大型ウイングに同じダンボール箱を何百とか1000個とか手積みして運んで59000円とかよくわかんない
— 柿の種 (@kakinotane_XJR) November 27, 2021
どんなに体がしんどくても休めない
もう運行スケジュールは決められています。
体調が悪いからとか腰が痛いからと言って仕事に穴を開けることはできません。そんな時のために常時予備のドライバーなんて抱えている余裕なんて会社にはない。
そんな状態で運転をすれば、事故を起こす可能性は上がります。
そうなれば損害を弁償するために一生会社から抜けれなくなる人も。
人身事故ならば逮捕されます。
ドライバーの腰痛持ちは80%
ドライバーの仕事は運転。
同じ姿勢で4時間もいると身体はどうなるか?
血流の流れが停滞し、脚のむくみ、痛み、痺れ腫れが起こります。いわゆるエコノミー症候群。血栓
こまめな水分補給が必要になりますが、ドライバーはすぐにトイレに行ける環境ではありません。
そうするとなるべくトイレに行かないように水分補給を我慢するようになる。
そうするとさらに悪化していきます。
・血流の停滞
・凝固能亢進
・血管内皮障害
さらに、その状態からの荷物の手降ろし手積み作業。
身体が固まった状態で、重い物や2時間も重労働をするとどうなるか?想像がつくはずです。
若ければいい?
若くても身体の作りは同じです。長年働くことを考えた場合、病気になるリスクは高くなります。
トラックドライバーは高血圧や心臓疾患発症リスクが高い
ちなみに全産業の就労者の平均年齢は43.2歳
大型トラックの平均年齢は49.4歳
なぜ手積みが行われているのか?
求人で『手積み手降ろし一切なし』と書いていない求人は、間違いなく手積み手降ろしがマストです。
手積み、バラ積みになる理由
一つは運べる荷物の量
もう一つはパレットの回収
運べる荷物の量
パレットでそのまま運んだ場合、パレットの分だけ荷物を運べなくなります。
これが手積みになると隙間なく荷物を埋めていけることになる。
また同じ商品や同じ形の荷物ばかりではありません。(バラ積み)
その場合パレットだと余計に隙間ができてしまうこともあります。
荷主からすれば一度に大量の荷物を運んだほうがコストが良い。
しかし、この手積み作業はドライバー1人で行わなければなりません。
一人で10トン車の箱を満帆に積んでいく。これがどれだけシンドイかはやってみないと想像がつかないと思います。
本来ならば、荷主側で荷役という人を雇って行うべき仕事だと思いますが、それをドライバーにやらせ、荷主側のコストを下げているとも言えます。
運送会社からすれば、他社が嫌がる手積みをドライバーにやらすことで、
その分差別化でき仕事がもらえ運賃も高く請求できる。
結果的に一番損をするのがドライバーということになります。
運送会社、荷主ともにドライバーは使い勝手のいいコマということです。それが世間に広まることでこの業界はブラックという流れになりドライバー不足に拍車をかけた。
言ってみれば、一番肝心なドライバーを都合よく使ってきた物流会社、荷主が自分達の業界をブラックにしてきたと言えます。
パレットの回収
パレット運んだ場合、荷物を運んだはいいが、運んだ後のパレットが残ってしまいます。
それがまたそこでパレットに積んでまた戻るという仕事ならばいいですが、そういうところばかりでもありません。
そこが最終地点の場合パレットがどんどん溜まっていきます。そうするとパレットを回収するためにトラックに積んで戻さなければならない。その分コストが嵩んでしまいます。
世の中にはいろんな荷物があります
一般的に想像するのが、段ボール箱の荷物だと思います。
食品や飲料、ネット通販、アマゾン、楽天、ヤフーなどほとんど段ボールで配送しています。
しかし物流はそれらばかりではない。
車の部品や産業機械、建築資材、液体、危険物、生コン、鉄骨などなど
全ては物流によって運ばれている。
物流を担うドライバーを酷使した結果、ドライバー離れが起きて荷物が運べなくなっていく。
2030年には今の35%が人手不足で運べなくなると言われています。
2030年。後7年です。
その先も先行きは不明です。
どうしてそんな状況になったのか?
運送会社・荷主・消費者は、荷物が届かないという時代が来る前に考えなければならない。